DOリベラ・デル・デュエロに初めて白が認められる
これまで赤とロゼのみが認められていたスペインのDOリベラ・デル・デュエロに、初めて白が認められた。主要品種は、土着のアルビーリョ・マジョール 75%以上。
アルビーリョという白ぶどうはスペイン原産で、いろいろな種類がある。アルビーリョ・マジョールはリベラ・デル・デュエロの土着。赤ワインに数%ブレンドされる補助的な役割を果たす品種という立場で、アロマティックで、リンゴや桃などの核のある果実の香り、フルボディ、酸は低めという。BBRによると、赤ワインにブレンドされると、テクスチュアや滑らかさに貢献し、コート・ロティにおけるヴィオニエのような役割を果たすという。もう一つ有名なのは、アルビーリョ・レアル。マドリッド周辺を中心に栽培されていて、近年注目の産地、グレドスでも栽培されている。
DOリベラ・デル・デュエロは、1982年にDOに認定され、以来面積は3.5倍にまで拡大した。しかし、アルビーリョ・マジョールの栽培面積は、減少の一途をたどった。DOリベラ・デル・デュエロのプレスリリースによると、まさにちょうどよい時に収穫しなければならず、多大なる注意が必要な品種だという。その難しさから、栽培されなくなってしまった。現在、リベラ・デル・デュエロでも、この品種を栽培しているのは、30軒に過ぎないという。
中には、100%アルビーリョ・マジョールの白をつくっている生産者もいる。これまでは、DOではなく、「ヴィノ・デ・ラ・ティエラ・カステーリャ」、または、さらに格下の原産地表示なしのワインであったが、今後はDOリベラ・デル・デュエロとして販売することができる。
この決定の理由は、減少する土着品種を守るためである。土着品種は、他に類をみない、その土地ならではのユニークさを生む。国際品種に流されるのではなく、土着品種を大切にすることにより、ユニークさや、味わいの多様性を提供しようとする考え方が背景にある。
DOリベラ・デル・デュエロ
Vitisphere
Ribera del Duero autorise la production de blancs pour sauver un cépage autochtone (2019-11-15)
BBRサイト

Mari Yasuda
約20年、世界のワイン関連のニュースを追いかけてきたワインライターとして、世界のワイン産業が直面する今の問題をお届けしていきます。
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